【映画レビュー:ズートビア(2D字幕版)】傑作。怪物のような映画。
※ネタバレあるので未見の方は要注意ですよ。
♪ありのー ままのー……の後に来たオウオウの歌
「ズートビア」を観に行ったのはちょうど去年の今頃だったようだ。日記替わりに書いていたFBで「ズートビア」がらみの記載が最初にあったのはこんな内容だった。
子どもさんが電車内で「オォッ…オォッ…オォッ…オォッ…オー……」と言っているので具合でも悪いのかと思ったら、少し間を置いて「なんどもお〜!」と続いたので、ようやくズートピアの主題歌と理解しました。ありのーままのー…よりかなり難易度高いな。
この時点でまだ映画を見に行く気などさらさらなかった。すでに精神状態はあまり良くなく、気持ちの浮き沈みに苦しんでいたころ。それでも何かで気を紛らわせようとしていた。映画好きの同僚に「ズートビア」観た?と聞くと、観たよ、良かったよ、大人でも十分楽しめるよ、とのこと。その感想を聞いてレイトショーの映画館へ足を運んだ。
第一の感想 & 一夜明けての感想
レイトショー終わって、終電間際の帰りの電車に揺られながら書き込んだ感想は以下のとおり。
レイトショーでの映画鑑賞終了。
本日はズートピア。
いやはや凄い。子供向けに見せておいて、完全に一般の映画。魅力、学び、気付きが集結した作品でした。
いつまで日本のアニメがクールでいられるのかと思わされますな。とにかくストーリーが素晴らしい。映像は言うまでもなく……私が最も印象的だったのはキャラクターを演じる声(吹き替えじゃない)。なんだろうなぁ…自然というか、観客に媚びるような声じゃないというか、うまく言えない。
名作でした。ホント、ブラボー。
そして次の日の夜に書かれた感想メモより……
改めて。
昨日急に思い立ってレイトショーで鑑賞した「ズートピア」(2D字幕版)についてメモ書き。
素晴らしい。
子供向けとしているが私には大人向けと思えました。Zootopiaは最初アメリカをモデルにしているのかと思いましたが、平和に日常が送れている人間の「世間」そのものです(紛争とか飢餓とか貧困とかがないという意味で)。夢を実現するにはどんな場所でも大なり小なり努力が必要だし、安定を求めて夢を諦めると言う選択肢もできるわけ、そういう大きな意味ではZootopiaは私たちの暮らすこの世界なのだ。
様々な「生物」が備える様々な「資質」、そこから生み出される様々すぎて複雑過ぎる「嗜好」や「思考」、そして「感情」や「力の差」など。それらは世間の中でぶつかり合って、時として「偏見」となり自分以外の相手や世間に向かい、自分の力を負の方向へ向かせる事になる。そういったつかみどころの無い流れを「動物が人間のように生きる世界」という設定で、老若男女にわかるように構成している。動物をキャラにすることでその特性をモチーフに、今人々が生きるこの世界にある多様性の問題が色々な角度から透かせて見えるようになっている。人種はもちろん、国家、性、職業....。この物語の構造に感心してしまいました。
心を空っぽに何も考えずに観たって、映画館を出るときには自然と元気が出る、でも同時に大きくて深い問題を投げかけられている事が実感出来る。制限された中で小さな物語にまとめあげられたこの脚本の仕上りは桁外れです。
もちろんCGだって言うこと無い完成度だし、音楽や声優の選定なども素敵でした。あと色々な映画の名作のオマージュも詰まっていたりという小ネタもありホントに細かい所まで作り込んでありました。まあ突っ込みどころがまったく無いとは言えないけど最近見た映画の中ではもっとも完成度が高い作品。観終えた後に拍手したくなったのでした。
小さなお子様と縁のない独身女の私も十二分に満足です。
レイトショー後、映画館から駅までの距離を映画の余韻に浸って歩くのが最も良い時間なのですが、昨夜はそれが本当に素敵な時間となりました。あー、面白かった。
未見の方は是非に。
(帰宅後、ウッディ・アレン作品のドロドロな「マッチポイント」も観てしまい、まぁ色々考えたって人生運かぁ〜とも思ったんですけどね。)
ほんと、このとおりの映画。
どのように絆が作られ崩壊して行くのか、心の傷が後々どのような感情を生み出して行くのか、それを払拭するヒントやきっかけはなんなのか。結局は子供のために作成されたアニメですから、綺麗事で終わってしまうのは致し方ないけれど、日々目にしている街や電車の中の風景で、偏見のタネやいじめのきっかけなどがあることに気づかされます(例えば、「ある事件」の後に、電車内で肉食獣が隣に座った時に見せる草食獣の親が子供を自分に引き寄せる仕草とか)。笑いもきっちり織り込まれていて、エンターテイメント作品としても、深みのある作品としても味わうことができる傑作と思いました。特に社会的問題に踏み込むことに成功している面では本当に素晴らしい。
これを見る数ヶ月前には「ベイマックス」を観て感心していたのに吹っ飛んでしまいました(もちろん好き嫌いはあると思うし、キャラや設定のデザインはベイマックスの方が優れているとも思うのですが)。
何も考えずとも心から楽しめ、冷静に分析することも可能……というより様々な切り口で見ることのできる傑作です。
【Music】Tokyoが連想されちゃう曲 1 : エロいなあ、角松敏生の「TokyoTower」は……
ハイ、突然思いつきでTokyoが連想されちゃう曲をご紹介しちゃおうというシリーズ。
多分しばらくは東京タワーが続くだろうな。
今回は「Tokyo Tower」角松敏生さんの曲の中でも人気のある曲ですわ。
なんかiTunesで扱ってるバージョンがスローなのしかない…… 残念。
えーと、歌詞が……「僕のタワー 今夜も叶わぬ夢を乗せて君の中へ」「夜空にそそり立つ 震えながら」ってアンタ……恥ずかしすぎるでしょう、ほんっと……アレを東京タワーに形容して 東京タワーさんに失礼じゃない? ノッポン兄弟の立場は?って感じですよ。
※ノッポン兄弟さんは東京タワーのオフィシャル ゆる キャラです。
でもね、この厚みのあるゴージャスなアレンジだと気にならないんですよ。面白ーい。
草食男子が増えた世の中ではこのような楽曲は流行らないのかも。
BSで放送されている「SONG TO SOUL 永遠の一曲」のボズ・スキャッグス「We are all alone」の回で角松敏生さん本人がゲストで話していたけど、私たちが若い頃は大人に憧れる場面って結構あって、大人になったらこうしたい、こんな大人になりたいって思ったり感じたり、その一つに大人の曲を聞いて憧れたりしてたなぁ。
最近はね、大人になった方が大変だってことがわかっちゃったもんね。みんなピーターパンシンドロームみたいになってるよね。
【Music】特別企画:猫ヤパさん200エントリ記念「原信レジ子スター」ちゃんに捧ぐ
はい。ブログでお知り合いになりました猫ヤパさんのリンクのご希望を受けましたこともあり、猫ヤパさんブログ開設200エントリを祝し、勝手に記念企画でございます。
猫ヤパさんのブログの今後のご発展とともに、猫ヤパさんご本人ご用達スーパー「原信」にいらっしゃるスーパーレジ係の女子の今後のご活躍を祈念しKANちゃんの「 REGIKOSTAR~レジ子スターの刺激~ 」をちょっとだけご紹介。
KANちゃんはPerfumeさん、中田ヤスタカさんが大好きということもあり時々それにインスパイアされた曲をつくられるのです。「 REGIKOSTAR~レジ子スターの刺激~ 」に続く第二弾として作られたのが下にリンクした曲………ただしDEMO音源ですので音はアルバムのそれとは別物です。めちゃめちゃわれてますな……。アルバム「6×9=53」発売前にラジオで放送されたものと思われます。
これも中田ヤスタカさん系なのでピコピコ系です。今回はPerfumeではなくきゃりーぱみゅぱみゅさんをイメージした模様。
猫ヤパさん、いろいろ試行錯誤されながらブログ書かれているようです。でも読者もたくさんついて、当方としては羨ましい限り。 私はまあマイペースでひっそりやりますわ。ダラダラしか出来ないし。でもちょっとは猫ヤパさんみならって時々頑張ってみます。
【Music】KANというアーティスト その1。一発屋という名に隠されてしまった才能
山下達郎が好きです。でもKANはもっと好きです!
J-POPが好きな女は腐ってるらしいが、まあ年齢的にもいろいろ臭ったり、叩けば埃が出る状況ですので気にしません。洋楽も聞いてはいる。
好きなアーティストはKANちゃん。さっき猫ヤパさんのブログのコメントにもねじ込んで来てしまった。好きの押し売り、持ってけドロボー!
ファンクラブは未だに入っていないけど、かなり好き。ファン歴で言えばユーミンとか来生たかおさん(なぜか「さん」をつけたくなる)の方が長い。小学生の頃から聞いていた、マセガキでした。KANちゃんは言わずと知れた「愛は勝つ」の人。これが売れた頃はもう私はいい大人で、ドストレート過ぎる歌詞、歌い方、ルックス……全て受け入れがたく、拒否反応を示していたものでした。その見方が180度変わったのはこの曲を聞いてから。
「東京ライフ」。いくつかバージョンがあるのですが、もっと好きなのはこれじゃなくてアルバム「めずらしい人生」収録のほう。生ピアノの方が素敵。
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「日曜日のくつろぎの全ては明日の月曜のため」と歌われるフレーズは、歌詞に織り込まれた恋愛要素を全て取っ払っても心に響く。私は自分の葬式の時にこの曲を流してもらいたいと思っている。
そのほかにも書ききれないほどの好きな曲はあるけれど、最近の曲ではこの「クレムリンマン」収録「クルマは走る」が曲も歌詞のドンデン返しにも笑わせてもらった。
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っていうか曲構成も歌い方もほぼマッキー。いきなり聞いたらわからないかもしれない。
幼少の頃からクラシックピアノを習い、POPSシンガーとして名声を得てから、改めてフランスへ音楽留学してピアノの基礎から学び直したKANちゃん。歌唱力はイマイチかと思いきやそうでもなかったりする。
最近はスキマスイッチさんの全曲を全て聞いた中からフレーズを少しずつ切りはりして全くべつの1曲「回奏パズル」を書き上げたりしているらしい。っていうかほとんど変態だね。スキマスイッチさん聞いてないからわからないけど、KANちゃん自分の曲でこういうことやってほしいわ。
私の葬式でもう一曲流してもらいたいKANちゃんの曲。
問いかけよ問い 道別れされど問う
転んでも叫んでも 答えなどどこにもないのに
辛くなるといつもこの歌詞が口をついて出ちゃうのでした。
【映画レビュー:フライド・グリーン・トマト】ツッコミどころ満載だけど泣ける。大好きな映画。
好きな映画をあげたら5本の指に入る映画。私の映画メモには以下のように書いてあります。
突っ込みどころは多いし、キャシー・ベイツの役どころをみてると多少げんなりするけれど、何度観てもドキドキほっこりじんわりの連続で大好き。苦難を受け止めて力に換えてきた主人公にパワーをもらえます。
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何度か時間をあけて繰り返し見ているけれど、その度にフワーっと心が温かくなる。
夫との仲が冷え切っているキャシー・ベイツは外見はかなり悲惨なおばさんだけど、心は少女のままで純真無垢。それゆえに不器用であり、夫との関係改善を目指して、様々なセミナーに参加したり、友人との会話から得られる情報を試して見るが、それらに翻弄されている。そして偶然知り合った老女との交流を通して、生きるヒントを得て前を向いていく……というお話。どうやら原作の方が良質らしいので古本で入手したけれどまだ読んではいない。老女が語る話が真実だったのかどうか……そんなことどうでも良いんだと思うほど勇気をもらえる。特に、老女の話の中の主人公のその後の人生を語る場面があるが(語るだけ)、結婚後に授かった命は障害を持って生まれ、そして早くにその子はこの世を去ったけど……というくだりは映像になっていないのに深く心に響く。それは私の兄が重度の障害を持っているからだけではないと思う。多かれ少なかれ人には苦難があるが、このように苦難をパワーに昇華してしまう人を(例えそれが映画という虚構であっても)見るととても感銘してしまう。
………あ、そうだちょうど今私、この映画を見るべき時なのかもしれません。
古い作品ですが、もし出会うチャンスがあればどうぞ。おそらく男性には向きません。女性向きと思います。
【映画レビュー:英国王のスピーチ】え? 俺が王様?聞いてないよー!とんでもないプレッシャーだよね。
好きな映画をいくつか挙げろと言われたら、おそらくこれは必ず入る。
「英国王のスピーチ」
コリン・ファレルが素敵だけど、奥様を演じるヘレナ・ボナム・カーターがまた輪をかけて素敵。そして子役のエリザベスの聡明さの片鱗がしっかり感じるように演じられているところも素晴らしい。
王冠をかけた恋とか言われた兄 エドワード8世とウォリス・シンプソン夫人のおかげでジョージ6世として即位せねばならなくなった吃音症のアルバート王子と言語療法士のローグとの物語。ウォリス・シンプソン夫人は今となってはヒトラーとも関係があったとされる女狐とも言われる人だったらしい。どこが良かったんだよエドワードさん。
王室という特異な家庭に生を受けた重圧と、吃音というハンディキャップに悩まされるアルバート。もしこの人が通常の家庭に生まれて吃音に悩まされるだけだったら多少はもっと気楽な人生だったろうか。いやそれならば吃音症は克服できなかったかもしれない。王室という極めて特殊な枠組みでストーリー展開を見がちだが、おそらくこの映画に惹かれるのは王室の人ではなくハンディキャップに悩み苦しむ男を見守り導く言語療法士と、彼の家族の無償の愛情が伝わるからではないかと思う。
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英国王室ものが好きでエリザベス一世を描いた「エリザベス」やらその母となったアン・ブーリンを描いた「ブーリン家の姉妹」、観てしまってドイヒーなストーリー展開にうんざりした「ダイアナ」などを観て、Wikiペディアはじめネットでのいろんな文章も読みましたが、女王などという役割はただ「情」や「功績」などだけでは物事を判断しにくい立場のようで、苦悩がついて回らないことはおそらくトイレに入っている時くらいのようです。そのあたりをちゃんと描いている、サラーっとしか観られなかった映画「クィーン」をちゃんとしっかり見直してみよう。
「クィーン」に関する映画は以下のリンクへ。私が大好きな今は亡き いちごさんの映画サイトにリンクします。
[映画] クィーン The Queen (2006年) | 人と映画のタペストリー
これを読むと、カミラさんという方の人柄も違って見えてきます。Webで調べるとチャールズさんと不倫関係であったことを除いては結構まともな人みたいです。不倫をし続けなければならない王室という超特殊環境に問題の現況があり、それらにダイアナさんもカミラさんも翻弄された結果ということなのでしょうか? 王室や皇室にあ絶対不可侵な事象があって変えられないこともあるのはわかりますが、その中でもできるだけやりくりしてもう少しゆるさがないと、人間の本質的な何かを歪めざるをえなくなる……それこそ間違っていると誰か教えてあげてほしいですね。
………ってもう「英国王のスピーチ」のレビューじゃなくなってるよ。